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「……百二十円。」
「百円!」
睨み合っていた視線が、金の豚に落ちる。
「百は無理」
そんな、ため息つかなくっても。
「だって元々はタダだよね?」
チョコのおまけだもんね、豚。レア色だけど。
「それ、いくら?」
にやにや楽しく値切っていたら、背中から声がした。振り向くと我が校の女王様が割り込んできて、豚のことを眺めていた。
豚から女王様、そのあとは、お互いへ。どうするの、と目で問い詰めたけど、こちらを見る目はさっきまでと違って表情が消えていて感情が読めない。
「すみません。これ、売約済なんです」
え、と口にする間もなく。
私の掌の百円は消え、代わりに豚が乗せられた。
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