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オレがみんなにジュースを配り、オレたちはまた話を始めた。
和樹と話して笑っている春菜を見ると胸が苦しい。
これがきっと嫉妬というやつだろう。
オレがそんなことを思って小さなため息をついたとき、春菜が昨日オレにしたあの質問を和樹にしていた。
その瞬間にオレの心臓がドクンと跳ねた。
「ねぇ、和樹君。
和樹君は好きな人とかいるの?」
春菜のその質問は和樹がアタックを決めるための絶妙なトスだ。
春菜のこの質問に答える形で、和樹が春菜に告白する。
それで春菜は和樹の気持ちに気づいて、春菜は……。
オレがこれから起きる未来を想像していたとき、和樹が春菜の質問に答えようとしていた。
でもオレは和樹が質問に答える前に、二人の会話に割って入った。
「春菜、オレにも同じ質問したよな。
その質問、オレが答える!」
自分でも何を言っているかわからなかった。
臆病で勇気のないオレが何でこんなことをしているのかを理屈では説明できない。
ただオレは純粋に自分の気持ちを春菜に伝えたかった。
「オレには好きな人がいる。
その人は春菜だ」
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