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放課後、部室で絵を描いていた。
石膏像のデッサンだ。
オレはこれといった取り柄のない中学生だけど、絵だけは上手い。
一年生の頃からオレの絵はコンクールで入選しているし、三年生になった今では美術部の部長を務めている。
そんなオレが絵を描いている姿に誘われてか、幼なじみの春菜がオレの後ろにやってきた。
「健太は本当に絵が上手だよね」
「まぁな、これでも美術部の部長だからな」
「将来は画家になるの?」
「そんなに簡単になれるかよ」
「頑張ってみたらいいじゃん。
健太から絵を取ったら、他に良いとこなんて見当たらないんだよ」
「棘のある言い方だな。
オレにだってな、探せば良いとこあるんだよ」
オレはそう言うと、鉛筆を机に置いて春菜の方を振り返った。
幼なじみの春菜は学校で人気ナンバーワンの女子で、ふわりとした長い髪に二重のパッチリとした目がかわいらしい。
春菜は学校中の男子が憧れる高嶺の花だ。
今でも春菜とは美術部繋がりで仲の良い友達だったが、オレはそんな春菜に友達以上の感情を抱いていた。
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