親友よ、お前に春菜は渡さない!

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「よっ、健太。 ここにいると思ったんだ」 よく晴れた日の昼休み、オレは校舎の屋上でスケッチブックに風景を描いていたいたが、聞こえてきた和樹の声に振り返った。 「相変わらず上手いな。 将来は絵描きになるのか?」 「どうかな。 なれればいいけどな」 「そんだけ毎日、絵を描いてればきっとなれるさ。 オレは健太の絵が好きだぜ」 和樹はそう言って笑うと、オレのとなりのコンクリートの階段に座った。 和樹はサッカー部のキャプテンで、女子からの人気が高い。 そんなオレと和樹は接点がないように見えるが、アニメ好きという共通の趣味で繋がっていた。 人間関係には色んなパターンがあるものだ。 「あのさ、健太。 いきなりな質問なんだけどさ……」 和樹はそう切り出すと、言いづらそうな顔でこう言った。 「健太ってさ、春菜のことが好きなのか?」 オレは不意をつかれたその質問に心臓が飛び跳ねた。 まるで豪速球がストライクゾーンのど真ん中に投げ込まれてきたかのようなストレートな質問だ。 オレはその質問の意図がわからなくて、和樹に探りを入れていた。 「何だよ、その質問。 何か意味があるのかよ」 「まぁ、いいから答えてくれ。 頼む!」 どうしても答えが欲しそうな和樹にオレは本心とは別のことを話していた。 「別に好きじゃねぇよ。 オレと春菜は友達だし」 オレがそう言うと、和樹はホッとしたように空を見上げた。 そして和樹は衝撃的なことを口にした。 「オレ、春菜のことが好きなんだ。 でも健太と春菜って仲がいいだろ。 で、もしかしてと思ってさ」 親友のその告白にオレの胸がズキリと痛んだ。 自分がずっと大切にしていたものを失う予感。 オレは和樹の言葉に戸惑っていた。
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