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江嶋優(5)
二人でヌキっこして、まだ疼くけれど少しは落ち着いた。
これから先、どうするのかなんて知らない俺は、司さんの事をキョトンとした顔で見ていたらしい。
「なんだ?」
「い、いえ。僕、何かしたほうがいいんですか?何も知らなくてすみません。」
ふっ……と。
それはそれは見惚れる様な、カッコイイ微笑みを見せてくれた。
「かわいいな、優。」
なんでそれがかわいいになるのか、さっぱり分からない僕は、またキョトンとしてしまったらしい。
「っ!…………可愛すぎるだろ、それ。そんなキョトンとした顔、よそでしてたら許さない。」
「あ?どんな顔なんですか、それ。わかんないです。」
「そういう顔。」
ぷに……と頬を押されて、変な顔になる。
訳が分からない。
「匂いキツイな……、もう…我慢ができないから、最後まで止められないからな。」
「っ!……はい。」
僕はもちろん司さんも男同志での行為は初めてで、随分四苦八苦したがどうにか朝方、夜明け前には身体を繋げ、うなじを噛まれて番になった。
僕の身体に司さんの白濁を受けると、一旦ヒートが落ち着いた。
その時点でホテルのフロントに、緊急抑制剤を用意してもらい、帰宅することにした。
結果、その番の契約を結んだ時に妊娠。
お腹が目立つ様になる前に大学を休学して、司さんが一人暮らしするお宅に同居させて貰ってる。
僕も大学に入って自活してたから、家事はできた。
同居を始めた時に籍も入れて、僕は田中優から江嶋優になった。
家同士の問題もなく先日までは幸せの絶頂で、昨日から今朝のテンションは地の底といった風だった。
昨日あれから友人と別れ、どこをどう帰ったのか、知らない間に帰宅。
夜に帰ってきた司さんに、初めて喧嘩腰で詰め寄った。
浮気現場を見たのだと。
司さんは浮気じゃないと言うけど、弁解は出来ないらしく、カフェでの様子を話したら、言葉を詰まらせた。弁解出来ないのは、浮気を肯定したようなものだよね。
昨夜は寝室で籠城した。
今朝、司さんは早くから仕事に出たから、僕もノソノソと寝室から出てきた。
昨日はショックで、晩ごはんの買い物もしてなかったし、ましてや朝食の用意もなく。
フラフラと近くのコンビニになんか食べる物をと買いに出た先で、気分が悪くなった。
気がつくとコンビニの床に倒れてて、口からは嘔吐したすえた臭いがして、床には吐瀉物と大量の生温い水が股を濡らして滴り落ちてた。
コンビニの店内で倒れ、床を汚した迷惑なオメガなのに、学生らしき若い店員さんは優しかった。
慌てる僕を励まして、救急車を呼んでくれて。
かかりつけ医の月野総合病院に搬送されたのだけど、助産師の中田さんもいい人で。
司さんに連絡を入れてくれた。
こんな心細い事になるなんて、思ってなかった。
赤ちゃん、ちゃんと産めるか心配だ。
早く司さんに逢いたい。
なんか僕が誤解してるのなら、早く誤解を解いて欲しい。
さっきから下痢したような、お腹の痛みでトイレに篭ってる。
すごい硬い便が、出そうで出ない。
うーーー。
「江嶋さん?江嶋優さん?どこ?」
あ、中田さん、司さんの電話から戻って来たんだ。
連絡ついたかな。
「あ……と……トイレですぅ〜、、うっん、」
「ん?大丈夫か?カギ開けていいか?」
「あ……待ってください。出そうなんで終わったら出てきますから。」
「いやいや、それ違うかもしれんから、息むな!」
「うっんっ……あ?え?あっ、いた!」
「江嶋さん!開けるぞ!」
ガチャ!っと開けて入ってきた中田さんは、僕が便ではなく、赤子を息んでる事に気づいてたみたいだった。
「ほら、それ陣痛!まだ子宮口開いてないから息むなよ!」
それから続けてこう言った。
たまにいるんだよ、う⚫こと思って息む妊夫!
……そんなあけすけな……。
/////////
僕、恥ずかしくて死にそう。
「江嶋さん、司さんと連絡とれて、こっちに急いで来てくれるから!安心しろ!」
「はいぃ〜〜〜〜。ありがとうございますぅ。」
おなか痛いのが陣痛だったとは。
下痢と間違えちゃった。
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★☆★ スター・777 ★☆★
ついでに800も!
ありがとうございます。
新規の方も然る事乍ら、毎日投げてくださる皆様のおかげです。
BのLの中でも鬼門な方もいらっしゃると思いますが、(※需要がなくても)ひっそりと供給する所存です。
スター特典
月野総合病院〜スタッフリスト〜
看護士 橋本くんのプロフィールも公開しました。
2020.06.27
yow<(_ _)>
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