パルピ姫とドラゴン

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 すっかり困った先代の王さま、つまり、いまの王さまのお父さまが、ドラゴンと約束を交わしました。それは、ドラゴンにいえにえをひとり差し出すかわりに、暴れるのをやめてもらう、という約束です。  差し出されたいけにえは、ドラゴンと戦うか、ドラゴンを楽しませなければなりません。  戦う場合は、ドラゴンに勝つか、三日間負けなければ、家に帰してもらえます。  ドラゴンを楽しませる場合は、三日間楽しませることができれば、家に帰してもらえます。  でも、それができなければ、ドラゴンに食べられてしまうのでした。  そして残念なことに、これまでに差し出されたいけにえが帰ってくることはなかったのです。  家来は言いました。 「王さま、しかたがありません。町を守るためです。今年もいけにえを選びましょう」 「ううむ。しかたがないのう。では、矢を放て」 「はっ、かしこまりました」  家来は部屋を出ていき、弓を引く兵士を、城の見晴らし台にのぼらせました。  見晴台から町に向かって矢を放ち、その矢が刺さった家からいけにえを差し出させる、という決まりなのでした。
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