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卓裕のスマホには、見覚えある画面が出ていた。
入札:156件
あなたが現在最高額の入札者です
出品者:ひみこさん
商品名:一円スタート!私の『女』売ります
あなたの入札価格:500,000,000円
「女を売るなんていうふざけた通知が来たからさ、つい入札しちゃったよ。思い切って5億円。これなら落札できるよな、はははー」
何こいつ?馬鹿にしてんの?
「ちょっと何やってんのよ、あんた本当は私を馬鹿にしてるでしょ!もういいよ、どうせ私なんて…」
この世で1人ぽっちで、力尽きて床に転がってる気分。腹立ちまぎれにカウンターをぶっ叩いて、立ち上がろうとしたその時。卓裕の意外に大きくて厚く温かい手が、私の手を力強く引いた。
「俺は大真面目だよ。いまいち意味がわからんけど、多分この出品者は、落札者の前では女でいてくれるんだろ?だったら、この人の女を買うのは俺しかいないじゃないか」
何…言ってるの?
「やっぱ馬鹿にしてる!だってあんた、いつ聞いても好きな人がいるって…」
「そうだよ、いるよ。いつも一番近くにいる。その人、今日はアホオークションやって悪酔いして2回吐いてるけど、酒乱か?なら考え直すか…」
私は本当にアホだった。なんでもっと早く、この人に女を売らなかったのかな。もっと素直になってれば…
「宏海、ごめんな。俺がもっと早くハッキリしなきゃだめだったんだ。お前がこんなに傷つく前にさ。で、オークションはどうする?」
「い…いえす…もう確定…もう誰も入札しちゃやだ…ひっく…うわーーーん!」
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