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…が玲奈が置いていった資料の下、飛鳥と二人でこなしてる。客観的に見てほとんど飛鳥がこなしてるケドも…
だから表立って堂々と店を構えることはできるんだが土地代の高いこの帝和、店を構える金はない。持家の一軒家が事務所を兼ねている。
最近は街角で声をかけることなく仕事が入る盛況っぷり。少しばかしの余裕から仕事を選べる身分にもなった。
今日も依頼主と打ち合わせするため10時に伺う予定だ。依頼主は元気印製薬… 大企業の社長だ。
『24時間の壁を壊せ。社会を生き抜く強さを』ってブラック企業で溢れるこのご時世にバリバリ社会風刺の栄養ドリンクのCMでお馴染みの会社。
なんでもご令嬢がお家にお戻りにならないと。何やってんのか探ってくれだって… 年齢的には飛鳥の一個上。大学生で遊びたい年頃なのだろうな…
俺は依頼を受ける前にお決まりの習慣をこなす。依頼主に探りを入れること。
仕事柄、敵も多く、安易に請け負うことはしない。これは玲奈の教訓で俺に引き継がれている。
合理的だと思うし納得した上でやってる。今は家族を背負う身なのだから。依頼内容やそういう部分を加味して伸るか反るかを決める。
怪しいものや非合法には絶対に手を出さない。
仕事内容を事前に提示する段階でそういう類は突っぱねているのだが、偽装して通過し第二段階… 内情調査で拒否する事態も二回あった。
玲奈の教訓が活きていると痛感する。今回の件は一次も二次もクリーンと判断し依頼を承諾した。
「くぅ~!! これがあるから明日も頑張れる!!」
自販機で例の栄養ドリンクを買って飲む。常に常用している商品なだけあって依頼主にお会いするのが実は楽しみである。飲んだ瞬間ぼわっとなってCMのセリフを言わずにはいられない。瓶を捨てて目的地に向かうのであった…
===川崎隼人の動きと時同じくして===
~~~あるオフィスにて
「覚醒者のリスト、お渡ししておきます」
ハットの男が油ギッシュなデカぼくろのハゲに資料を渡す。
「フフフ、毎度悪いなァ… 川崎隼人、ここからそう遠くはないな。仕事が片付いたら向かうとしよう」
男は張り付くような気持ちの悪い笑みを浮かべていた…
~~~ある廃墟にて
「…あの子なんだけど、あなたでも少しは楽しめるんじゃないかしら?」
黒い肌の女は少年の様な背丈、格好の男に水晶を指さして言う。
「とてもあたたかい… 隼人」
男は胸に両の手を当てて優しく微笑んでいた…
…光りある所に影ができる。隼人の暮らしを脅かす者たちは近くまで来ていたのだった。
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