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私は主人の首を切り落とした。次に、その優しい双眸をくり抜いく。この瞳に、私は何度癒され、救われたのかわからない。それが今や球体の一つだ。意外とあっけないものである。
主人をバラす工程は、予想よりスムーズに進んだ。腕や足、はては耳や鼻や指など細かい部分をはずすのも難しくはない。上半身と下半身も分けていく。もはや主人は主人でなくなり、ただの部品へと成りさがる。
なんだかマグロの解体作業をしているようだった。もちろん主人はマグロと違って食べられないのだけど。
リビングに主人の一部を並べていき、一部分ごとにスマホで撮影していく。前とうしろ、横から。それらを、ぼやけないようキレイに写す。これが意外と面倒くさい作業だった。ただし、これを怠ってしまうと、損失につながるのだから仕方がない。
もう、あとには引けなかった。私は、主人の上半身の前に腰をおろし、中を傷つけないように厚い胸板を慎重に切り開いていく。
内部には、金や銀、赤、青、緑の色彩豊かな機械部品がびっしりとおさまっていた。各種センサーやメモリチップ、モーターなどなど……。
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