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私はそれらをピンセットやドライバーを使い、一つ一つ分けていく。こうして分解していると、主人はやはり高性能なのだと思い知らされた。さすが五年分近くの給料を費やし、購入しただけのことはある。
主人は有能なアンドロイドだった。いつまでも若さを保ち、他の男のように間違いを決して犯さない。あのころの私はそんな妄想を現実にしたかのような存在に憧れ、主人と結婚したのだ。
けれども、私は主人と違って年をとるたびに若さを失い、間違いもしょっちゅうした。
頭の中では理解していたはずなのに、いざ現実を突きつけられると、劣等感を抱かずにはいられなかった。なのに、そんな私を主人は愚弄することなく愛しつづける。これに耐えられるほど、私の心は強くなかった。かといって、主人を粗大ゴミで捨てるなど、あまりにも忍びない。
だから……。だから、私は主人を思いきってネットオークションで売ることにした。
バラバラにして売ったのは、そのままだと高額すぎて買い手がつきにくいというのもある。けれど、一番の理由は主人が他の女の所有物になることに対し、心のどこかで嫉妬したからだろう。
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