オモイデキリウリ

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 印刷され、製本された僕の作品集は一ヶ月もせずに僕の手元に届いた。  正直に言って、今までの人生で感じたことの無い高揚感に包まれた。  世界に2冊しかない、僕の作品。その紙の束の重みは、きっと生涯忘れることはないだろう。  僕の作品は、数だけはそれなりにある。  だから本にするために際して、いくつかの冊数に分けることにした。  第1巻にまとめられているのは、僕が小説を書くようになった大学時代のものをまとめている。今、手元にあるのがそれだ。  第1巻、という名前も味気ないので、僕はこの作品集に名前を付けていた。  オモイデキリウリ  これは僕の生涯最初の作品、大学の文芸部時代に発表した作品の名前。  僕の作品は、日記みたいなものだ。  実際にあった出来事に、少し色を付けて、小説と呼んでいるようなもの。思い出を切り売りしているという表現が、我ながら気に入っていたのだ。
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