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気になる子との連絡
新しいクラスに新しいクラスメートか。
みんなに馴染めるか不安だなぁ~
アタシ、西宮美波(にしみやみなみ)は晴れて今日から中学二年生になりました。
わぁ~パチパチ。
「俺が学級委員長をやることになりました、沢口海騎(さわぐちかいき)です。皆さん一年間よろしくお願いいたします」
沢口くんは勉強もスポーツも突出して凄いってわけではない。顔も超イケメンではなく、中の上ぐらいな感じ。
けど、何事にも全力で面倒見がよくて男女問わずみんなから慕われていて一年の時から人気者だ。
アタシも彼の全力で頑張る姿を見て、カッコいいと思い、少し気になっていた。けど関わることはないだろうと思っていた。なぜなら、アタシには彼に話しかける勇気なんてない。隣の席の男子に話しかける勇気もないのに、あの人気者の沢口くんに話しかけるなんて・・無理無理。
だけど、まさか同じクラスになるとは。これって運命?まさかね。ないない。
アタシは極度の人見知りな為、交遊関係も広くはない。その為、クラスでも大人数で話すより、仲の良い2、3人でいるほうが多い。
「このクラスを最高のクラスにしたいから、もっとみんなのこと知りたいんだ。ってことでみんなの連絡先教えてよ。グループ作って話そう。」
はっ?連絡先?
アタシの頭は真っ白になった。まさかの展開!ってかありえなくない?こんなことってあるの?
アタシ意外にも驚いている子は多いが、反対する声は特にない。これが沢口くんの人望が成せる技なのだろう。彼には人を惹き付けるオーラが出てるとアタシは思ってる。
沢口くんクラスの前の子から順番に聞いていってる。まじでやるんだ。
更に既にクラス全員の名前覚えてるみたい。アタシはまだ沢口くんしか名前と顔一致しないよ。さすが頼れる学級委員長様だ。
アタシの席は一番後ろなので、まだ来るまでに時間はある。落ち着け、アタシ。
ドキドキドキドキ
って落ち着けるかぁ!こんなの無理だよ。
胸の鼓動が大きすぎて、アタシはパニックになっていた。
けどそんなアタシを他所に沢口くんは順番に聞いていく。
そして、遂に運命の時はやってきた。
「西宮さんもよろしくね。連絡先いい?」
沢口くんが優しく笑顔で接してくれたことで一瞬見とれてしまったが、すぐに正気に戻り、コクりと頷きポケットからスマホを出す。
しかし、スマホが光らない・・はて?ボタンをポチポチ・・光らない?
電源ボタンを長押ししてみる。
すると少しだけ光った。
【0% 充電して下さい】
そう表示されると再びスマホの画面は真っ黒になった。
そして、アタシの頭に昨日の夜の出来事が流れる。動画見ててそのまま寝落ちしたから、充電し忘れたんだ。スマホの画面とは逆に頭は真っ白になった。終わった・・そして、目には涙が溜まり出す。
「充電切れてるみたいだね。ちょっとごめんね、誰かこの機種の充電機持ってない?」
沢口くんはアタシのスマホを手に取るとみんなに充電機がないか尋ねる。
「充電切れかよ~」
「持ってないわ。」
「西宮ドンマイ」
クラスメートがアタシにいろんな声をかけてくれる。悪気はないのだと思う。けどアタシもうムリ、涙我慢できない。
一筋の涙が零れ落ちそうな時、一枚紙が手渡される。
「これ、俺の連絡先だから。後で連絡して。」
アタシがその紙を受けとると、沢口くんはまたクラスの前に立って何か話していたが、アタシはもらった紙をギュっ握りしめた。
沢口くん優しいなぁ。なにやってんだよアタシ。自己嫌悪しながらも沢口くんの優しさに救われ、涙を堪えることが出来た。
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