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『けど、西宮さんのオススメなら読んでみようかなー』
アタシの体に魂が返ってくる。そして変なテンションになった。沢口くんに絶対読ませてやる。
『読んでみて!絶対オススメ!絶対面白いから!読んで読んで読んで!』
『めっちゃ推してくるねw了解。読んでみる』
『約束だよ。あっ、ってかアタシが貸すよ。学校持ってくね!楽しみにしてて。』
送信ボタンをポチ。
へっ?
送ってから少し冷静になる。あ、あ、アタシ、さ、さ、さ、沢口くんに本貸すなんて言っちゃったよーーーー!
迷惑だったかな?迷惑だよね。キャーーーどうしよう。
ピロン。スマホが鳴る。きっと沢口くんからの返事だろう。
どうしよう。恥ずかしくて見れないよ。
キャーーー
手足をバタつかせていると本棚から【カーテンとうままま野郎】が落ちて、開かれたページの言葉に目が止まる。
■
見たくない。見る勇気がない。
知って得することもあれば、知らない方が良いことだってある。人生は選択の連続だ。
けど、悩むなら見ちゃいなよ。見た先に新しい未来が待っている
■
ふぅーーーー
アタシは意を決してスマホの画面を開く。
『マジで!貸してくれるのありがとう。楽しみにしてる。』
キャーーーキャーーー
どうしようどうしよう。楽しみだって。ありがとうだって。キャーーーどうしよう。ヤバいヤバい。嬉しすぎる。頭からは既に煙が出そうなほど顔が真っ赤になる。
『うん。楽しみにしてて。』
『けど、本の受け渡しどうしようか?』
あっ!?
本堂々と学校で渡せないよ。どうしよ。
そうだ!これならどうだろう。
『アタシの机の中に入れとくよ。』
『教科書入らなくならない?』
確かに、今日はたまたま授業で必要な教科書が少なかったから漫画入れれたんだ。
どうすれば、いいのかな?困った時は本に頼ろう。本棚から本を取り出す。【錦鯉とおい鰹】
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困った時は・・とりあえず袋に入れちゃえ
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袋・・そうか袋だ!
アタシはタンスに飛びかかり、色んな段の引き出しをあける。
あった。これだ。
紺色の和柄に太陽の刺繍が入った袋と月の刺繍が入ってる袋を手に取る。二枚ともA4サイズで漫画を入れるには十分なサイズの袋だ。
これを写メに撮って。添付する。
『この中に本入れるのどうかな?これなら机の横に掛けれると思うんだけど。』
『いいね。ナイスアイデア』
その後何度かやり取りをして漫画交換の流れを決めた。
明日、アタシが朝学校に行ったら月の刺繍袋に漫画と太陽の刺繍袋を入れて机の横にかけておく。その袋を隙を見て、沢口くんが回収する。
そして次の日の朝からは、沢口くんがアタシの机の横に太陽の刺繍の袋を掛けておく。そして、アタシが学校に行ったら、太陽の刺繍袋を回収してバックにしまい代わりに月の刺繍袋を掛けておく。その後タイミングを見て沢口くんが月の刺繍袋を回収するといった流れだ。
その後は少し話して、おやすみと連絡した。
勢いで決めちゃったけど、これって二人だけの秘密になるのかな?
キャーーーキャーーー
明日楽しみ過ぎて今日眠れないかも。
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