土曜のランチ

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「三船ちゃんに不倫をさせないことは、本当に彼女のためなの?」 全ての話を聞き終わった花梨ちゃんは、ため息ながらにそう尋ねてきた。  春奈自身、三船七海を助けることはお節介だとは思っていた。それでも、三船七海のためになると思って、動いていたのだ。彼女のためになるのか、という花梨ちゃんの言葉は理解できないものだった。 「たしかに三船七海は別れてほしいって頼んできたけど……。今は夢中になっていても、そんな恋愛続けたら後悔するに決まってる」  春奈は、過去の経験から痛いほどそれを知っていた。同じ経験を目の前で繰り返そうとしている彼女が過去の自分と重なって、放っておけないのだ。 「それは、春奈の経験でしょう。三船ちゃんが後悔するかどうかは彼女自身が決めることなの」 何度も浮気された挙句振られた春奈の過去は、あくまで春奈の経験というのだろうか。達彦さんは浮気性だと言われていたし、春奈には三船七海が自分と同じ経験をたどるとしか思えなかった。 「でも……」 「春奈が本当に達彦さんと別れたくなくてそうしているならいいわ。でも、三船ちゃんのためと思って行動しているならやめた方がいい。何が彼女のためになるかなんて、誰にもわからないんだから」 正論といえば正論だ。でも、どこか()落ちなかった。
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