土曜のランチ

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「過去に戻れるって……もしかして、南通りの占い師の話?」 思わぬ花梨ちゃんの反応に、春奈は驚いてしまった。 「知ってるの?」 「うん、噂だけどね。私も探してみたことがあるんだけど、見つからなかったの」 花梨ちゃんは肩をすくめてみせた。よかった、彼女がそれを信じているのなら話は早い。 「その噂が本当みたいなの」 春奈は、周りを気にして声を小さくする。 「ええっ」 花梨ちゃんの声が大きく、周りのお客さんに見られてしまった。ごめんなさい、と彼女は恥ずかしそうに口を押えた。 「それで未来から訪ねてきた相手が、三船七海だったの」 花梨ちゃんは、声こそ出さないもののこれでもかというほど目を大きく見開いた。 「ほ、ほんとに?」 春奈は大きく頷いて見せた。 「それで彼女が私の彼氏の未来の不倫相手だって、そう言ったの」 「そんな……」  ちょうどその時、店員さんがハンバーグを持ってきてくれた。 「おいしそう……」 春奈は、チーズのたっぷり乗ったハンバーグに注意がそれてしまう。 「春奈、あなたの話だから私は信じる。でも、三船ちゃんにはどうして会いにきたの? 本当にあなたに不倫を告げた彼女が未来から来たのかたしかめるため?」 花梨ちゃんの顔は真剣そのものだった。改めて聞かれると、答えづらい。三船七海のためだなんて言ったら、怒られる気がする。 「彼女に不倫をやめさせたくて」 春奈はこれまでの経緯を説明した。三船七海との会話、達彦さんの浮気、春奈の浮気性な元カレの話も。
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