四話 特別仕様のパソコンとの出会い

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四話 特別仕様のパソコンとの出会い

 私は電気屋さんに居た。先延ばしにしていたパソコンを買いに来たのだ。 パソコンはもう品切れ状態だった。ウイルス騒動の中、パソコンは飛ぶ様に売れていた。特価の札をつけているパソコンを買おうと、店員に話しかけてみる。 「このパソコン頂けますか?」 すると店員は、 「申し訳ありません。今在庫がなくて。ウイルスの影響で材料が入って来なくて、ご購入頂いてから1ヶ月くらいは待って頂かなくてはいけないのです。この値段かなりの特価ということで、すぐ売れてしまって。」 なんだって?在庫なし?驚いた。早い者勝ちだ。のんびりやの私は一歩も二歩も遅かった。このウイルス騒動の最中、パソコンを手に入れることは出来ないか、一か八かで聞いてみる。 「在庫のあるパソコンってありますか?」 すると店員は、明るい顔をして言った。 「在庫のあるものはこちらですね。」 店員は歩きながら私を導いて、ガラス棚の中に1台だけ在庫が残っていたパソコンの前に案内した。 「値段はいくらくらいなのでしょう?」 私がそう聞くと、店員は、 「30万です。」 え?たか!買えない・・・。そう心の中でつぶやくが、パソコンがなければ、このウイルス騒動の中を切り抜けられない。パソコンが必要だった。続けて店員は仕様について説明した。 「このパソコンは、容量が増やせるんです。あと、パソコンの内部に搭載されているシーピーユーがとても良いものなので、先ほど案内させていただいたパソコンより、断然こちらの方が良いものです。値段はちょっと高いけど、長く使おうと思ったら、こちらの方が絶対に良いと思います。」 なるほど、だけど予想を超える値段に、足踏みしてしまう。店員と私の間に無言の時間が流れる。買うか買わないかは自分次第、買うか、買わないかのどちらかだ。そして、店員はしばらくたってからこう続けてくれた。 「このパソコン、はじめからこの一台だけしか入荷してないんです。」 なぜ?と思いながら店員の顔を見ると、店員は微笑みながら、 「メーカーが特別に作ったとっておきのパソコンらしいですよ。メーカーの人はかなりのお勧めと仰ってて、それは使ってみてのお楽しみらしいです。僕としてもお勧めなんですけどね。」 どうするか・・・。女、財前遥香、決めました。
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