『姿の見えないストーカー』に追われています

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 なぜか上から目線で容姿を査定してきた眼鏡に、疑問と怒りが沸々と湧いてくる。  私はウチの商品じゃないし、仕事だっていうから来ただけで、アナタの好みかどうかなんて微塵も興味ないんですけど。 (……そのお高そうな縁なし眼鏡、叩き飛ばしてやろうか)  って、ダメダメ。これは仕事、これは仕事。コイツは大事な取引先!  心の中で念仏のように唱え続け怒りを腹底に押し込んだ私は、お得意の営業スマイル120%でにこりと「本日は、よろしくお願いします」微笑んでみせた。  すると、部長は感激したように手を打ち、 「そうかそうか! よし、それならさっさと行こう! さあさあ柊くん、確かレストランは二階で……」 「あの、ちょっと部長!」  スキップでもしそうな調子で先を促す部長に、私は慌てて「あの、ご挨拶がまだ……」と名刺を示した。  けれど、いつもなら即座に挨拶をさせる主義の部長が「ああ、そんなのいいよいいよ」と手を振って、 「今日はそーゆーお堅いのはいらないよ。あれね、ウチの息子。そんで今日はね、"お見合い"って名前の商談だから!」 「……は?」  思わず零れた声に、眼鏡がふはっと吹き出す。
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