『姿の見えないストーカー』に追われています

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「……部長、気が変わりました」 「おっ! そうか、キミならきっと分かってくれると――」 「私は人生において結婚やら恋人やらを特別重要視していませんし、29だの30だの、年齢における評価も今時ナンセンスだと思っています。残念ですが、部長のお話には何一つ共感できません」 「な! キミ、失礼な……っ!」 「失礼なのはどちらですか? 商談だと嘘をついてまでご自分の愚息とお見合いをさせたあげく、こちらはお断りしているのにまた会えだなんて。セクハラにパワハラで訴えますよ?」 「なっ!? どこがっ、私は、キミのためを思って……!」 「あくまで"私のため"だとおっしゃるのでしたら、二度と私のプライベートに触れないでください。約束してくださるのでしたら、今回の件は水に流しますから。いいですか、"今回"だけです。次は人事にでも弁護士にでも、しかるべき処置をとらせて頂きますから」  絶句の表情で固まる部長。  私は「お話は以上ですか? それなら、仕事に戻りますので」と立ち上がる。  きちんと椅子を戻して、扉のノブへと手を掛けた刹那。
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