『姿の見えないストーカー』に追われています

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 今回みたいにワザとらしく声を上げて嫌味を言ってきたり、声をかけても一度目は無視してみたり。  基本的には関わりのない別チームだったのは不幸中の幸いだったけど、同じ部署にいる限り、今後いつ組むかもわからない。 (私にどうしろって言うのよ……)  わかってる。高倉さんは、私が孝彰さんに気に入れたという事実が許せないのだ。  つまり、打開策はない。  このまま彼女の気が晴れるまで、出来るだけ刺激しないよう耐えるしか道はない。 (孝彰さんといい高倉さんといい、執念深さでいうのならお似合いなんじゃないの……)  給湯室の自動販売機にお金を入れて、ボタンを押す。  転がり落ちてきたロイヤルミルクティーの冷たい缶を手に取って、ぷすりとプルを開けた。 「……あれ? そういえば」  高倉さんの嫌がらせが始まったのは、三日前。  あの、妙な気配が付いてくるようになったのも、三日前。  まさか……と疑念が浮かぶも、「なわけないか」と即座に打ち消した。  この三日間、高倉さんはすべて私より先に帰っている。  昨日なんて、このあと大手金融会社の社員と食事会なのだと皆に言いふらしていた。
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