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良くも悪くも分かりやすい人だから、彼女はシロだ。
(まったく、こっちもいつまで続くんだか……)
平穏だった私の日常を返してほしい。
はあ、と盛大に息をついて、私はチビチビと甘いミルクティーを味わった。
***
(……やっぱり、今日もきた)
夜に沈んだ街路樹。
やはり影もなく気配だけを主張する背後に、私は緊張を張り巡らせながらも小さく息を零した。
今日は色々と疲れたから、勘弁してほしかったんだけど。
(まあ、そもそも勝手に付いてきてるんだから、最初から私の都合なんて関係ないか)
足を止めて、振り返る。
予想通り、誰もいない。
「……もう、なんなのよ一体」
連日のストレスによる被害妄想だったりして?
むしろ、そうだったなら、どれだけ良かったか。
(……なんかムカついてきた)
姿もない、声もない。
それでも明らかに"存在"のある、べったりとした不快感を放つ"コレ"は、いったい私にどうしてほしいのか。
「……ねえ、いい加減、仕事してくれない? "お守り"なんでしょ?」
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