"顔"に焦がれたのっぺらぼう

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"顔"に焦がれたのっぺらぼう

 急なお誘いに快く挙手してくれた友人と有楽町で落ち合い、たっぷりデザートまで楽しんだ私は、いつもよりも話し声の多い総武線快速電車に揺られ、錦糸町駅で降りた。  肩には通勤鞄、手にはローズ香るスクラブとセール品のトップスが入った紙袋が二つ。  一杯だけと含んだ日本酒も手伝って、最高に気分がいい。 「これで普通に帰れれば、言う事なしだったのに」  ぞわりと背に、妙な悪寒。  ああ、やっぱりきちゃった。連日のことで慣れてきてしまったのか、今は恐怖よりも落胆が強い。  毎日毎日、飽きもせずただ着いてきて、本当、一体何が目的なんだか。 (……目的、っていえば)  ふと、昨夜出会った変な男の"忠告"が脳内に過る。 『……知ろうとするな。知らないままでいろ』  あれは、不審者とも捉えられかねない自身のことを指していたのか。  それとも、この姿なく付いてくる、得体の知れない"なにか"のことを言っていたのか。  もし後者ならば、あの男はこの"なにか"の正体を知っているってこと。 (……それなら)
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