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とはいえ、仮にお化けさんだとしても、私に付きまとう理由がわからない。
この三日間、特別変わった場所に行ったわけでも、誰かの思念がこもっていそうな何かを買ったり食べたりしたわけでもない。
怖がらせることが目的なら、それこそ最初から姿を見せればいいだろうし、かといって訴えたいことがあるのだとしても、残念ながら力になってあげることは出来ない。
だって私は霊感なんて、さっぱり持ち合わせていないのだから。
「これこそ、"お守り"の出番なんじゃないの?」
不満に唇を尖らせながら、私は右の手元に転がるスマホを持ち上げた。
ケースに付けた薄紫の紐が揺れて、繋がる金の鈴がゆらりと離れて近づく。
音は、出ない。
そういう鈴なのだと、これをくれたお祖母ちゃんが言っていた。高校二年の時だ。
『鳴らない鈴なんて、鈴じゃないでしょ』
呆れ気味に変なのと告げると、お祖母ちゃんは『いーや』と笑って、
『これはね、お守りの鈴なのよ。だからいつも一緒にいないと駄目だからね。いざって時にきっと、助けてくれるから』
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