『姿の見えないストーカー』に追われています

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 ね、と包み込まれた右手。両親が多忙な共働きだった私は、産まれた時から生活のほとんどをお祖母ちゃんと過ごしていた。  思い出の大半は、お祖母ちゃんと過ごした日々。  一番近くて、大好きな人の"お願い"。断れるはずがない。 『……仕方ないなあ』  気付けば随分と皺だらけになってしまった手から、私の掌に移った小さな鈴。  その日から今日に至るまで、私は律儀に"鳴らない鈴"を持ち歩いている。  最初はどちらかというと義理立てのような気持ちだったけど、お祖母ちゃんが亡くなってからは、この鈴を通して見守ってくれているような……そんな、心の拠り所になっていたり。 「……いつまで続くんだろ、これ」  眼前に掲げた鈴はお澄まし顔で、やっぱりうんともすんとも言わない。 「変なことにならなきゃいいんだけど」  相手が人だろうがお化けだろうが、こうも手掛かりが無いようでは、対策の立てようがない。 「考えるだけ無駄、ってね」  早々に思考を切った私はベッドから起き上がり、湯船にお湯を張るべく浴室に向かった。 ***
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