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絶対に上手く纏めてやると気合十分な私の前に現れたのは、妙に緩んだ笑みを浮かべた部長と、スタイリッシュな縁なし眼鏡をかけた手ぶらの男性だった。
深い藍色のスーツを着たその人は、背が高くひょろりとしていて、華やかではないものの嫌味のないすっきりとした顔立ちをしている。
歳は私の少し上……ってところかな。
もっと年嵩の人が現れると思っていた私は胸中で面食らいながらも、愛想よく微笑んでさっとハンドバッグから名刺入れを取り出した。
なのに、部長は私の側に寄るなり「うんうん」と頷いて、
「いやあ、いいねいいね。どうだい? 俺の言った通り、とびっきり綺麗な子だろう?」
ん? と違和感。
そんな私の硬直など露知らず、「なあ?」と部長の視線を受けた眼鏡さんは、不躾に視線を上下して私を一通り眺めると、
「……うん、絶対たいしたことないの連れてくると思ってたから、正直驚いたよ。顔もスタイルも俺好みだし。これなら今日は逃げないで真面目にやるか」
……はあ?
あのね、確かに私は綺麗ですよ。でもさでもさ、失礼すぎない?
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