思い出オークション

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マコトが、カナと出会ったのは雨の日だ。 雨足がどんどん強くなるなか、彼女は傘もささずに公園のベンチに腰かけ、ひとりうなだれていたのだ。 あまりにもひどいその有様に、マコトは思わず声をかけた。 のろのろと顔をあげた彼女の、疲れきったような笑顔が、彼の胸を突いた。 「気にしないで。恋人に捨てられただけだから」
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