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「けど、鮫島さんは違った」
西田くんがこちらを見る。
「え……?」
彼の言う英語の授業のことは覚えているけれど、私が西田くんの夢を聞いてどんな反応を示したかなんて、全くもって覚えていない。
「鮫島さんだけは、俺の夢を笑うことなく、すごいね、頑張ってねって真面目な顔で応援してくれたんだ」
「そうだったんだ」
当時のことは、私にとって些細なことだったのだろう。
ほとんど記憶に残っていないことが申し訳ない。
けれど、今も西田くんの夢の話を聞いて純粋にすごいと思ったから、私ならそう言うだろうなと思った。
「そのとき思ったんだ。コンクールの絵のモデルを鮫島さんにお願いしたいって。優しい鮫島さんをモデルにしたら、良い絵が描けるような気がしたんだ」
正解だったな、と西田くんは嬉しそうな笑みを浮かべる。
私をモデルに選んだ理由が聞けたのは良かったけれど、さすがに買い被りすぎだ。
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