便利な世界

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様々な商品が並ぶショッピングモールに一人の客が入ってきた。 フラフラと色々な店を回っている。 その内のひとつの店で店主が声を掛けた。 「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」 「友人の誕生日のプレゼントを探してるんだが、なかなかコレといったものが無くてね」 客は両手を上げて首を横に振った。 「私の店だときっといいものが見つかりますよ」と店主は自信あり気に言った。 「では少しばかり見せてもらいましょうか」 「これなんかどうです…」「ご友人にきっとお似合いですよ…」「こちらは最近入ったばかりの…」 店主は口がうまく、次々と商品を紹介していった。 客はその気になり、そのどれもが欲しくなってきた。 「んー悩むなぁ」 「悩んだ場合はいくつか買ってから悩めばいいのです。ご自分用にも購入されたらどうです?」 「そうだなぁ、悩んでいても仕方ないな。そうすることにしよう」 客はその中のいくつかの商品を決め、購入した。 「ありがとうございました」 客は満足気に店を後にし、帰路についた。 家に着くとさっそくモニターをチェックする。 「そろそろダウンロードが終わってる頃かな」 モニターには先程購入した商品が並んでいる。 メールにちょっとした祝いのメッセージを書き、商品をひとつ選んで添付し送信した。 「これでよしと」 残った商品を開封しつつ言った。 「便利な時代になったものだ」
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