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 翌日曜日の朝、ガレージのシャッターを開けると、その途端、僕は音に聞くマジシャンの見事なトリックに幻惑されたように驚愕した。  なんと真っ赤なフェラーリがクロヒョウのように真っ黒になっていたのだ。 「こ、これは一体どういうことだ!」  最初、有り得ないことだが、何者かによって摺り替えられたのかと思ってナンバーを見ると、同一だった。ということは何者かによって全塗装されたのかとも思ってみたが、そんなバカなとそれこそ有り得ないこととした。 「と、ということはまさか黒猫の呪いが乗り移って・・・」と僕は思い始めると、女みたいに、「ひえ~!」と悲鳴を上げながら身震いして鳥肌を立てた。  アニミズムとかシャーマニズムとかそんな物を信じていれば、いざ知らず、俄かには信じがたいことだが、それしか有り得ないように思えた僕は、再び、女みたいに、「ひえ~!」と悲鳴を上げた。  結局、僕はその日のドライブを取り止め、フェラーリを見切って売ることにした。
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