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俺の周りには女神がいた。
物心つく前からだ。
ときどき小学校の5年生の担任から
言われた言葉を思い出す。
俺は女神に愛された男だと。
そう聞くと、なんか特別な人間みたいだが。
俺は至って普通だ。
「ダーリン」
プリヤが抱きついてくる。
当たってる、当たってる。
俺は胸の感触に戸惑う。
ダーリンと俺を呼ぶときは、お願いごと
があるときだ。
「甘ーいものが食べたいー!
食べたい食べたい食べたい!」
「生クリームたっぷりのプリンアラモード
が食べたい! ねえ、いいでしょ?
今夜たっぷりサービスするから」
「プリヤ、ジュンを困らせないの」
「マーリアには関係ないでしょー」
「はい、プリンアラモード、女神盛生クリームだ」
「やったー! さすがマスター」
「好きなものを注文していいよ。
高田くんにつけておくから」
マスター!
「メロンソーダ、ねエレナ」
「メロンソーダ、ねヘレナ」
「マスター、生クリームあるだけもって
きてー!」
「プリヤ!」
「メロンソーダ全部、ねエレナ」
「メロンソーダ全部、ねヘレナ」
「エレナ、ヘレナまで。もう」
はぁ。
最近よく考える。
幸せって何なのか。
バイト代が増えたと喜んだとたん、
この出費だ。
痛い。
幸せと不幸は背中合わせではないのか。
コインの裏と表。
「マーリアは? 甘いもの食べる?」
「私は、いいの」
「食べないから育たないんだよー。
みてこのグラマラスバディ。
育っちゃって困っちゃうー」
「マーリア脱いだらすごい、ねエレナ」
「すごい、ねヘレナ」
「ちょっと2人とも、ジュンの前でーー」
「あたしのほうがすごいでしょうが」
「マーリアすごい」
「すごい」
恥ずかしがっているマーリアが可愛くて、
もう少しみていたかったけど、
休憩時間終了だ。
よし、稼ぐぞ。
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