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泣くなって。ごめん、素直に言うよ。
俺がヒナを選んだ理由はそんなとこ。
誰に何言われてもニコニコできる強さと周りの仕事を引き受けちゃう優しさ。でも、そんな自分が嫌でたまに俺と一緒の時だけ泣いてる。さっき、もっと人前で泣けって言ったけど、なし。俺の前だけで精一杯泣いてほしい。ヒナが生きやすくなるためには、それじゃダメだけど、彼氏の俺にとっては独占欲が勝つんだよ。
誰よりも穏やかで優しいヒナがたまらなくいじらしい。誰が何と言おうと俺だけはヒナの味方でいたいって思うよ。
もういい?恥ずい。俺がヒナを選んだ理由はそんなとこ。
私は彼に抱きついた。
「どうした?急に?」
「なんでもない。」
驚いた顔の彼に私は顔をうずめる。
他人の心の声が聞ける私。私を選んだ理由をあらゆる場面で尋ねてきた。知りたくないけど、知りたい本音。
初めてこの能力に心から感謝ができた瞬間だった。この暖かな想いを離したくなくて、しがみつくように彼を抱きしめた。
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