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チュンチュンという鳥の鳴き声が聞こえはじめた朝。
木でできたこの家の天井から脂か垂れている。
そんな一人暮らしには広すぎるログハウスの一角にある真っ白い寝具に、一人の少年が横たわっていた。
『…んっ…ふぁぁ…ふぅ…』
その少年は寝転んだまま欠伸をした。
そして少し目を開けると、少年の視界に壁にかかった時計が映る。
その時計の針は8時を刺そうとしていた。
寝ぼけているからか、ゆっくり上半身を起こした少年は、無表情のまま前を真っ直ぐ見つめて一言。
『もしかして遅刻…?』
次の瞬間、少年は声に出して重大なことに気づいたのか勢いよくベットを降りて部屋を出る。
洗面所でバシャバシャと水を撒き散らしながら洗顔をし、顔が濡れたまま制服を着用。
手に取ったハンカチーフで顔を拭きながら鞄を掴む。
そして、そのまま玄関へ直行。
雑に靴を履いて閉まっていた扉の鍵を開ける。
『いってきます』
少年の声が誰もいないこの家に静かに響いた。
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