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「”芸能界”の何を知ってる?」
占い師さんは私に訊きます。
「何もわかっていないと思いますが、成り立ちとしては、昔、”河原乞食(かわらこじき)”とされていたジャンルということは把握しています」
”河原乞食”という言葉は今となっては差別用語ですので使われることはありませんが、芸能の仕事というのは、乞食のようなものだと認知されていた時代があります。
要するに、賤業(せんぎょう)とされていたということです。
昔は、物書きも賤業とされていた時代があります。
人の不幸を書いてお金をもらうという意味で、軽蔑され、嫌われていたのです。
「そうね。昔から非常に特殊な世界だったでしょう。
今、すっかり市民権を得て、あこがれの仕事とされているけど、本質的な部分は変わらないものよ。
ゲルメン(生殖質)から切り離されたソーマ(体質)。
かんたんに言ってしまえば、遺伝子を残す生殖とは関係なく、肉体や体質だけで生きているような存在ということなの」
「私には理解が難しいです。つまり、子どもを産まない性の存在という意味ですか?」
私はややこしい頭を絞って訊きます。
「その言い方はこちら側から見た、偏見を含んだ言い方でしょう?」
占い師さんは言いました。
占い師さんは一切、こちらに譲歩したものいいをしません。
そのことによって、”あちら側”すなわち、芸能側の”聖性”のようなものを死守しようとしているようです。
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