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太陽の子のなかの悪い血?
”太陽の子”と分類されているあとの三人は別行動です。
恍惚の淡い表情を浮かべている二人の少女たちとは対照的に、顔や首に汗を浮かべ、苦悶の表情を浮かべています。
この表情もまた、同じ女性が見てもぞくっとするものがありますが、どこか違和感があります。
さきほどの二人の少女のいい表情とは少し、毛色が違います。
少女たちの肉体には無数の”ある虫”が這い、血を吸い取っています。
痛みがあるのでしょうか。
あの表情はそのせいでしょうか。
「あの”虫”はね、特殊な飼育方法で改良されているの。
そうじゃないと、肌に傷を残してしまうからね。肌に傷を残さないままに、表面の悪い血を吸い取らせているの」
占い師さんは言います。
虫の透明な体に少女たちの血が吸収されていくのが見えます。
「この子たちのなかにはまだ刺激を求めている濁りがあるの。
でも、それは本人が望んでいる”刺激”じゃないの。
たとえるなら、誰かに無理やり打たれた覚せい剤に中毒しているような状態と同じね。
あの子たちの場合には、村の風習であり、親であるわけ。
毒を持った大人たちに毒されてしまった後遺症なの。
この三人にはソーマ的才能があるから、それを残したままにすれば大成する可能性があるの」
「ソーマ的才能というのは”娼婦”的な才能の意味ですよね?
子宮、生殖から離れた才能という意味でとらえていいですね?」
私は訊きます。
「この村に専門用語があるのは分かります。
その通りに従います。
ですが、意味がつかめないままでは頭が混乱してしまいます」
そのように占い師さんに伝えました。
「この村の聖なる言葉を、あなた方の俗な言葉に貶めるならそうとも言えるでしょうね」
占い師さんは続けます。
「あなた方一般の人で、運を掴む人間、神々しい人間の足を引っ張り、引きずりおろし、同じ位置に持ってこようとする浅ましい人間界の言葉では、そう言えます。”娼婦的”とね。その程度の言葉しか分からないんでしょう?」
私は「ほかにもっと当てはまる言葉があるでしょうか」と訊きます。
「娼婦はお金と交換に自分の肉体を差し出す職業でしょう。
ソーマ的な女性というのは、生殖、つまり子孫を残すことを放棄しながら、自分の体内に迎え入れる男性を受け止め、快楽を与えるというまったく別ものの行為なのよ。
娼婦は魂が抜けていても肉体がそこにあれば成り立つわ。
でもソーマ的女性は魂が抜けた肉体では成り立たないの。
あなたに理解してもらうにはまだ時間が掛かると思うわね。あなたは自然のままの状態で手付かずのままで、非常に野蛮で野卑だから」
手付かず、自然のままで野蛮という発想は中国の【纏足(てんそく)】と同じ考え方です。
纏足も、少女のうちから足を奇形化させ、女性の自由を奪うことが”美”であるとされていました。
占い師さんも中国の思想を取り入れているのでしょうか。
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