「キメラ」

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私は【キメラ】であり、【TV(異性装嗜好者】という役割です。 要するに”変態”した人間であるという設定なのです。 92f28cdd-f4f3-4476-b95e-03c63f03d51a 私に与えられたのは、人の肌のような革で出来た全身スーツのようなもので、非常に不気味です。 まるであつらえたかのように体に張り付く感触も気味が悪いです。 脱ぐときなどは、汗ばんだ肌と衣装が張り付いて、まるで自分の皮をはがすような感覚がします。 この人肌衣装を装着すると、性器の部分には男性のモノがついています。 その部分が垂れ下がっている状態です。 その部分を棒状にするためには、お湯(人肌)を入れるというアナログ仕様です。 さらには、ナマコの輪切りを人工ペニスの先にはめ込んだり、羊の眼の瞼の皮を剥いて乾かした【羊眼(ようがん)】というものを装着するという昔ながらの手法です。 「今ならば、「ペニスバンド」という道具があるのですが、なぜ、このような方法なのですか?」 私は占い師さんに訊きます。 「品のないものを出し入れしないためよ」 私には”ペニスバンド”が品がなく、【羊眼】や【ナマコ】に品がある(?)という感覚がまだつかめません。 この村のマニュアルが完全には理解できていないせいでしょう。 f19cdd28-4ba4-436a-8caf-d02af18059e5 私はここで「あっ」とひらめきます。 月の子と交わっていたケンタウロスは私と同じような役割を担った人間なのでしょう。 あの摩訶不思議な恰好の正体が分かりました。
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