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占い師さんから私への提案はこうです。
・子宮を取ったほうがいい。そのほうが私の内面と肉体のバランスはよくなる。
・私が体を変えれば、内面と一致してもっと深い暗部まで取材に行けるようになる。だから男性器をつけるべき。
・子宮を残したまま、男性器をつけるというのも吉。内面との一致にはならないが、男性女性両方の二種類のエネルギーが得られる。
今回、骨を切ることのできる美容整形医が村に来るので、タイミングが合っている。
私は自分の体の改造のことと同時に、
”使い物にならない(運を動かせない)少女たち”がどのようにされるのかが気になりました。
占い師さんが”使い物にならない”と選んだ少女たちのなかには飛び切りの美貌の少女も混ざっています。
これほどの子でも、使い物にならないと言うのでしょうか。
ふいに、占い師さんの内面について興味が向きました。
占い師さんは嫉妬のようなものはどう処理しているのかが気になりました。
占い師さんには”占い”という手に職がありますし、才能もあるのでしょう。
そして運もよいのでしょう。
ですが、美貌を持った少女を支配したいというどす黒い感情がまったくないというのは嘘だと思いました。
私は訊きます。
「占い師さんは、美貌の少女への憎悪を持ってはいませんか?」
占い師さんは驚くこともなく、笑い飛ばすこともなく、いつになく真剣な表情を見せます。
「美貌の少女の末路が悲惨なのをあなたは知らない?」
「知っています。よくない人生を送ってしまう子が多いことは知っています。ですが、占い師さんが美貌の少女の末路がそうなると決めつけていませんか? 占い師さんがそのように導いてはいないですか?」
私は出過ぎたことと分かりながらも訊きました。
「残念なんだけど、そのように導く人間が現れてしまうことも、美少女たちの運命の一環なのよ」
「というのは?」
「私も悪人よ。少女たちを食い物にしているとあなたは言うんでしょう。認めます。でも、私はどんな少女にも手をかけるわけじゃないの。やはり、商品になるような、芸能人になって売れるような、そういう子にだけ、関わるのです。それが、少女たちの運命なのよ」
占い師さんの言葉に私は返事をすることができませんでした。
「運命というのは、渦(うず)みたいなもので、自分の周りを取り巻くものもすべてが運命なのよ。
周囲に集まる人間、関わる人間、みんな運命なの」
「では、私と占い師さんのあいだにも運命がありますか? 運命が関係していますか?」
私は訊きます。
「私とあなたのあいだに運命はないわ。
というのも、私もあなたも、少女たちが巻き起こしている渦のような運命に飲み込まれているだけだから。
竜巻に巻き込まれてここに運ばれてきた塵(ちり)に過ぎないの。
私とあなたはそうなの。もちろん、事務所のPさんも、少女たちの渦に飲み込まれたに過ぎない人なのよ」
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