占い師さんは半陰陽。

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うずくまって呻っている存在は、肘から下のない少女でした。 足は、足首から下がありません。 そして、巻かれているサラシのようなものは茶色のダークチョコレートのような色に染まっています。 「まだお見せできる状態ではないの。途中過程の醜いこの子をあなたに面倒を看てほしいのよ」 私は少女に近づきます。 高熱が出ているのでしょうか、近づくだけでもわっとした体温の余波のようなものを感じます。 そして、少女の体臭、そして尿臭も嗅ぎました。 「今日、やっと”開封”が赦されたの。 カスタムを受けてからずっと密封されたままで、満月の今夜、新生の人形見習いを解き放つ日がきたの。 まず、傷口を消毒してあげて、体を拭いてあげて、そして食べ物を与えて、飲み物を飲ませて、排泄物の処理をしてあげてちょうだい」 暗い小屋のなかに、満月の灯りが届き始めます。 私の視覚も冴えてきました。 すると、少女の傷口に蛆がわいています。 「この子はまだカスタムの途中なの。完璧な人形になるまで、あと三回の手術を受けるの。今度来る美容整形医が次の骨を断ちにきます」 占い師は続けます。 「”わたしたちは架空の楽園よりも、現実の地獄を選ばなければなりません”」 というシモ―ヌヴェイユの言葉を残して小屋から出ました。
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