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「水…水……」
私は少女に水を飲ませます。
ごきゅごきゅと喉を鳴らしながら、口の端から水を垂らしながら、浅ましいまでに必死になって飲み続けます。
私は自分のなかに不思議な感覚が芽生えるのを実感します。
少女に水を与える喜びと、嗜虐的(しぎゃくてき)な心のざわつきです。
今の状況での強者である私は、少女から水を取り上げることも出来ます。
取り上げたら少女は「もっと、もっと」とすがるでしょう。
そんな意地悪に意味はないと分かっていても、そのような悪趣味な喜びを見出す”悪の種”のようなものがあるのだなぁと知ります。
占い師さんが作り上げようとしているものが徐々に分かり始めます。
少女の”サラシ”のような分厚い包帯を換えるときは悲惨でした。
悲鳴を上げる少女ととんでもない悪臭、ひと思いに包帯を剥がすと、”治りたい”傷のかさぶたも一緒に剥がれます。
肌まで一緒に剥がれます。
黄色い膿がじゅくじゅくとしている傷を消毒し、ふたたび新しい包帯を巻きます。
少女はその間、失神しました。
水を大量に飲んだ少女の唇がふっくらとふくらみます。
ヒルのように、むんずむんずと蠢いています。
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