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「運を補ってあげたい、と思わせることも、運を流動させることへの貢献なのよ。覚えておきなさい」
と占い師さんは私に言います。
「ですが、口外は禁止よ。あなたなりに表現を変えて書くことは自由ですが、そのまま書いたら三か月は生きられないわよ」
占い師さんの目も奥が光ります。
「あなたが行う少女たちの解毒のイニシエーション儀式も、あなたの運を動かしているのよ。
あなたはここで運を使う機会はないから、この村から現実社会に戻ったときに、その運の貯金が発揮されて驚くと思うわよ」
占い師さんは会議から抜けて、私に話を始めます。
「最後に言うけど、あなたは両性具有になったほうがいいわ。
あらゆる隠秘学でも、内面の闇とか迷妄を取り払ったとき、人間は自分が両性具有だと知る、とされているの。
あなたはさまざまな闇や人の迷妄と触れてきて、ふつうの人よりは内面の闇がないほうなのよ。
ふつうはあなたは闇の人間だと感じるでしょうが、あなたは意外と素直で風通しのいい人間なのよ」
私は「そうでしょうか」と呟きます。
「両性具有者はつまり、オルガズムの象徴なの。
あなたは自己と他人の融合、現実とオカルトの融合、そのような能力を得られるのよ」
占い師さんは続けます。
「あなたがその体になって、いつか暗黒記者として食いっぱぐれたら、別世界の住人として迎え入れてあげるわ。
約束するわよ」
「私が両性具有になったら、オカルトの能力が身につくのですか?」
と訊きます。
「確実に、現世界とオカルト世界のはざまの住人になれます」
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