エピローグ

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「お兄ちゃん、ダメだよ。誘導尋問は……」 「ちぇっ」 「でもさ……、ありがとう……お兄ちゃん……」  腕を組んだ夏芽が俺の腕を引いて、夏芽が言った。夏芽の声が少しかすれる。また俺たちの間が狭まる。少し前まで愛していた胸の膨らみにふわっと俺の肘が触れる。 「いや、お前が幸せになってくれたら……なんて……」 「幸せになるよ。私……」 「おめでとう……」  俺の声もかすれていた。  夏芽が小さな手を出す。温かい手だ。俺たちは手を握りあった。 「はい、八洲(ヤシマ)夏芽さん、俺たちは恋人解消……な?」 「……うん……解消……」    夏芽がジャンプして俺にハイタッチした。    その日の午後ニ時、夏芽たちを祝福する教会の鐘が鳴った。  数日後、夏芽からメールが届いた。新しい家族の写真を貼付して……。  その後に、夏芽らしき手のひらに、小さな小袋の写真が……。 「何だこれ……?」  スマホの画面を拡大した。 「オ、オカモ……」  コンドームの小袋だ。その後に恥ずかしいくらいになみなみと溜まった俺の使用済みの……。 『お兄ちゃん、私、嬉しかったよ? この小袋、これは私のお守りにしてます。』  俺は、スマホの画面を指で軽く弾いた。   「夏芽、おめでとう、幸せになれよ……」 ――おわり――
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