ラブホ

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ラブホ

 俺たちは腕を組んで、ホテルの中に入った。    :    エアコンが効いたその部屋は、入り口の左側にある布張りのソファーのセットと一番奥にシングル二つ分より大きそうなベッドが丁寧にベッドメイクされていて、その足元には大画面の薄型テレビがある。  俺たちはコートとスーツの上着を脱いで、ベッドサイドに並んで腰掛けた。  俺がテレビのリモコンを押す。  ボンヤリとした大画面が明るくなり、大きく足を開かれた白人の女の子の裸が浮かび上がる。その上に覆いかぶさった金髪の男の子の腰が波打つように動く。女の子の裸足の爪先もそれに合わせて揺れている。ぴちゃぴちゃという音と白人の女の子の艶めかしい声と共に……。 「ご、ゴメン……」  俺はテレビにリモコンを向け、スイッチに指をかけた。俺の股間が破裂してしまいそうだった。 「……すごい」  ため息混じりに夏芽が囁いた。白い彼女の頬がピンクに色づいている。妹からムワっとしたお風呂上がりの女の子のような匂いを感じる。  妹の匂いに俺の股間が発情する。妹に発情するなんて俺は……。 「夏芽さあ、シャワー……?」    ……だけ浴びて、ここを出よう。  バスルームは部屋の入り口から入ると左側の壁の所にある。ここで着替えろという意味なのか、半透明の飾りガラスの衝立で仕切られて、更に足元は隠すものがない。 「う……うん……でも、恥ずかしいから見ないで……」 「ああ……、見ないよ」  俺は軽く目を閉じる振りをした。  夏芽は少し躊躇ったあと、バスルームの前に立つ。  衝立の向こうに白い夏芽の身体が動くのが見え、その足元に彼女のワンピースが足元に落ちる。半透明のガラスに夏芽の薄い水色のショーツと彼女の丸い腰とお揃いのブラジャーに包まれた胸のシルエットが上に下にと動く。その度にカサコソという布が擦れる音が部屋に広がる。  ガシャッと蛇腹のドアが開く音がして、バスルームから水しぶきの音がし始めた。    ソファーのテーブルから取ったティッシュの箱をベッドの枕元にセッティングした。そして、ベッドの枕元のにあったやけに白い灰皿の上のコンドームを取って、その封を少し切って枕の下に忍ばせる。夏芽との「もしも」の時に備えた。     しばらくして、水しぶきの音が止まった。  もう一度、枕をめくって、セットしたコンドームを確認する。
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