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「お兄ちゃん……」
慌てて枕を戻した。
エコーがかかったような妹の声が俺を呼んだ。
「何……」
「お風呂のお湯入れたんだけど……入る?」
俺の股間がまた反応した。
自分に落ち着けと、大きく深呼吸する。
「……えっ、ああ、うん……じゃあ……」
何も気にしてない、ということをさりげに装う。
バスルームから笑い声が聞こえた。
「お兄ちゃん、声、ひっくり返ってる。悪戯して怒られた時みたい」
さすが鋭い。
俺はバスルームのドアを開けた。むわっと魔法のランプみたいな湯気に迎えられる。その壁には大きな鏡に囲まれているが露で曇ったそれはその役割を果たしていない。
家風呂よりも大きな浴槽に夏芽は俺に背中を向けて立っている。
ポチャっとした白い背中、その割にあるウエストのくびれと、それを強調するような白くて丸い腰が俺の方を向いていて、未熟児として生まれて枝のような手足だった夏芽の身体は、いつの間にか抱きつきたくなるような身体に変わっていた。
シャワーの前にある金色のバスチェアの座面には俺の腕が入るほどの切れ込みがある。いわゆるスケベ椅子と言うやつだ。
「お兄ちゃん、恥ずかしいからあっち向いてて……」
夏芽が言った。早口で……。
「ああ、ゴメン」となぜか俺は反射的に彼女に謝った。
俺はスケベ椅子を取って、ドアの方を向いて座った。つまり、妹に背中を向けて……。
都合がよかった。妹の裸を見て痛いくらいにギンギンに発情した俺の股間を隠すことができるのだから……。
俺の視野の端に妹の身体が映る。白くてポッチャリした身体の割に少ない贅肉と、余り大きいとは言えないが丸い胸に俺の心臓が高鳴る。
チャプンと音がした。
「お兄ちゃん……」と、俺を呼ぶ夏芽の声……。
俺は彼女に背を向けて湯船に入る。そしてゆっくりと身体をお湯に浸す。
チャプンという音が、ザザアという音に変わる。
俺の裸のお尻を妹に見られていると思うと、また股間が熱くなる。
「何年ぶりだろう。夏芽と一緒にお風呂なんて……」
「うん、多分、私が小学校四年生の時……まで……かな?」
そうだ、俺が小学校六年の夏休みの終わりに、お祖母ちゃんが急に赤飯を炊いてたっけ……。あの時、夏芽が急に遠く感じたのを覚えてる。
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