21 ヘンゼルとグレーテル

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21 ヘンゼルとグレーテル

お兄ちゃんは、サバイバーです。 お兄ちゃんとあたしは、口べらしのために森に捨てられました。 しくしく泣いているあたしを、お兄ちゃんがはげましてくれました。 「行くぞ!」 お兄ちゃんは、立ち上がるとパンを少しずつちぎって、道にてんてんとおきました。 (さすが、お兄ちゃん。帰り道がわかるように目印にしているんだ!) 「グレーテル、こっちだ!」 お兄ちゃんはあたしを引っぱって、セイヨウトウヒの太い幹にかくれました。 しばらくすると、一羽のヤマバトがパンくずをついばみながら、やってきました。 ヤマバトがあたしたちの目の前まで来たとき、 お兄ちゃんは電光石火のダイブをキメて、ヤマバトをつかまえました。 「やったぞ!晩飯だ!」 お兄ちゃんは誇らしげに、獲物を掲げ雄叫(おたけ)びをあげました。 あたしのお兄ちゃんは、優秀なサバイバーです。 でも、パンがあるならパンを食べようよ、とあたしは思ったのでした。 おしまい 2020 6/14(日)
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