6章 I am worthy of you

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 買い物が終わり、他のメンバーと合流した僕たちは早速料理に取り掛かることになった。しかし僕と楠木くん以外はみんな火を起こす作業に駆り出されてしまい、僕たち2人はカレーの準備を行うことになった。  「これ、どうやって切るんでしょうね?」  「一旦調べよう……」  もちろん、僕と楠木くんどちらも料理は未経験のためネットに頼るしかなかった。苦労しながら、玉ねぎを切っていると楠木くんが急に手を止めた。  「ずっと気になってたんですけど、水瀬くんは遠坂くんとお付き合いしてるんでしょうか?」  「はぁ?!!」  僕は驚きすぎて、危うく指を切りそうになった。どこがどうなってそうなるんだ。  「ちがうちがう!!そんなんじゃないから!」  「そうなんですか?てっきりそうなのかと思ってました。」  涼しい顔をして人参を切る楠木くんを盗み見る。揶揄っているようではなさそうだった。  「悠里は、誰にでも優しいし。僕だけじゃないよ。」  「そうでしょうか、遠坂くんの水瀬くんへの態度は他の子とは違うと思いましたけど。」  痛いところを突かれて、僕は黙るしかなかった。悠里のこともちゃんと考えなければならないとはわかっているものの、彼とどうなりたいかといったところに具体的なビジョンが思い浮かばないのだ。  僕が黙り込んだのを見て、楠木くんは慌てて「急に変なこと聞いてごめんなさい。」と謝った。別に謝られることでもないのだけれど、なんと反応すれば良いかわからなかった。  「逆にさ、楠木くんは書記さんのこと好きなの?」  それは興味本位だった。親衛隊長なるものをやっている人の心情が気になっただけだけだ。だが、楠木くんからしたらあまり良い質問ではなかったらしい。それは彼の表情ですぐわかった。  楠木くんの表情は、僕がけいちゃんの話を聞かれた時とよく似ていた。  「好きですよ、叶うものではないですけど。」  そう告げると、楠木くんは困ったように笑った。僕の心臓がドクドクと痛むのがわかった。僕は知っているからだ。叶わない恋がどれだけ辛いものなのか。  
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