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「なんでこんなとこで寝てるんだよ……。」
ベンチには見覚えのある男が、すやすやと眠っていた。消灯時間はとっくに過ぎている。副会長なのだからちゃんと規則を守ってほしいものだ、何て思いながらため息をついた。
まぁ、多分ここで疲れて足を休めていたときにうっかり眠ってしまっただけなんだろうけど。ていうか、こんな無防備に寝るとかほんとこの人自分の立場わかってんの?
彼の顔色は真っ青で、目の下には隈がびたっと張り付いていた。きっと無理をしているんだろう。僕が眉間に寄った皺を指でぐりぐり押してみても、少し唸るだけで起きる気配はなかった。
「けいちゃん、起きて。」
声をかけながら軽く肩を叩くが起きそうにもない。こんな奴、無視して放っておけばいいのに。わかっていても、放置できない自分が嫌だった。
_______ほんと、自分って馬鹿だよな。
僕は彼を黙って背負い、歩き出した。
「重っ」
やっぱり、自分よりガタイがでかい人間を運ぶのは少ししんどい。だけど、これは風紀委員としてやらなきゃいけないことだから。
_______そう、自分自身に言い聞かせた。
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