6章 I am worthy of you

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「そんな舐めた態度で生徒会やってるんだったら僕の手でリコールしてあげる。」  僕は、けいちゃんが大嫌いだけど僕以外の人に虐げられているのは我慢できないんだ。最高に面倒な感情を抱いている自覚はあるのだけど、そんな僕も僕なのだから仕方ない。けいちゃんの隣に相応しくない奴らは、ここで退場してもらわないとね。  「君たちの仕事を全部けいちゃんが引き受けてたから、この新歓イベントができてるのわかってるの?」   君たちが羽を伸ばそうとしてたイベントの企画は生徒会じゃないのか。そもそも、激務の代わりに特権をもらってるくせに楽になりたい、なんて割が良すぎでしょ。そもそも、会長があんなことになったのに自分たちでなんとかしようと思わないのだろうか。その思考回路も僕には理解できない。  「けいちゃんに全部任せたこの行事は、楽しかった?」  僕は生徒会のメンバーを交互に見つめた。早く何か言って欲しい。この状況を作り出した言い訳があるなら逆に聞きたい。  すると、一番最初に転入生との噂が出た生徒会書記___藤木真澄が口を開く。彼の姿を見ると、楠木君を思い出して少し胸が痛かった。  「…………、啓人くんは優秀だから、俺なんて必要としてない。」  藤木真澄がそう言い放つと、他の二人も口々に話し出す。  「そうだよ、啓人くんは優秀だもん。」  「僕たちなんて必要としてないよ。」  「僕らなんていても仕方ない。」  「僕たちはいても邪魔なだけ。」  3人の言い分に僕は唖然とした。それが全てけいちゃんに押し付けていい理由になるわけがない。けいちゃんが優秀だからといって、君たちは彼を一人にするのか。  _______けいちゃんが僕を捨ててまで選んだこの学園の人々は、そんなに価値があるものなの?  僕には全くわからない。僕だったら、もっと彼のこと大切にしてあげれたのに。悔しくて、自分の目頭が熱くなるのを感じた。  「けいちゃんは、君たちのこと信用してるって言ってた。」  一人でもみんなのこと待ってると。  「なのに、君たちは、なんでそんな考えしかできないの。」  僕は、自分の目からこぼれ落ちる涙を止められなかった。歯痒かったのだ、けいちゃんの思いが彼らに一ミリすら届いていないことに。フラフラになりながら1人で書類仕事をしていた彼が、彼らの言葉を聞いたらどう思うだろうと、胸が痛かった。僕が泣き出したことに驚いたのか、生徒会の面々は何も言わずに立ち尽くしていた。  「君が泣かなくても、いいのに。」  後ろから不意に柔らかい声がし、目元にそっと手を被せられた。驚いて振り返ると、けいちゃんの綺麗な目と目が合った。  彼は少し困ったように笑うと、そのまま僕の頭を抱え込むように抱きしめた。
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