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5月の沖縄は普通に夏だ。海に着いた僕は、浜辺の殺人的な暑さに、今にも倒れそうだった。
Tシャツだけじゃ心許ないと貴人にパーカーを着せられたけど、とてもじゃないけど着ていられなかった。
「これ、脱いじゃダメ…?」
貴人は無言で首を振る。というか、自分は普通に脱いでるくせに僕にはこんな厚着させるなんて。過保護にもほどがある。
「自分だって、抱きたい男ランキング入ってるくせに。」
そう恨みがましく言うと頭を思いっきり叩かれた。じんじんと叩かれた頭が痛い。さらに意識が朦朧としそうだ。僕の頭を叩く人なんて、この学校では貴人と委員長くらいしかいないんですけど???
「千花ちゃん〜〜〜!俺が脱がしてあげようか〜?」
後ろから変態が来て俺を抱きしめてきたのでそのまま背負い投げた。こんな暑い日に変態に抱きしめられるなんて、暑苦しくて仕方がない。
「セクハラなんだけど。」
「やだぁ、千花ちゃんきびしぃ〜〜〜!」
僕に背負い投げをされた悠里だったが、すぐに何でもなかったかのようにガバッと立ち上がりヘラヘラしていた。変態、もとい、遠坂悠里は僕に投げられすぎて受け身を完璧に覚えてしまったのだ。その飲み込みの良さが余計に腹立たしい。
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