6章 I am worthy of you

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 お昼になると、全員が浜辺に集められてグループ分けが行われた。これから先の研修をそのグループで行うことになるため、メンバーが誰になるか少しだけ気になった。  僕は普段、風紀委員以外の人と行動を共にすることがほぼない。そのせいか貴人は僕が他人と同じ部屋になることをすごく気にしていて、直前まで研修不参加を主張していた。あいつは僕のお父さんか??  発表された班の集合場所に行くと、見覚えのある長身のイケメンが立っていた。僕の顔を見て、笑顔で微笑む彼は、海がよく似合っていた。  「信楽先輩!」  そう、会長の親衛隊隊長、信楽三春先輩だ。少し変人だったが、他人に危害を加えない良い人だった印象だ。  信楽先輩は「千花ちゃんがいたら、面白くない研修もとっても楽しみになったよ〜」と言いながら僕の手をブンブン回して握手してきた。  信楽先輩がいて正直ホッとする。対人関係が得意でない僕にとって、知り合いがいるという状況は正直助かる。    信楽先輩の隣には、目元が少し鋭い綺麗な顔立ちの男の人が立っていた。初めて見る人だったが、信楽先輩とタメ語で喋っている様子から3年生であることが窺えた。  「俺は源 壮馬(みなもと そうま)だ。3日間よろしくな。」  源先輩は、爽やかなお兄ちゃんといったような人物だった。この学園に蔓延っている変態たちとは全く違い、どこにでもいる"いい意味"で普通な好青年にみえた。正直、野獣みたいな奴がきたらどうしようかと思っていたので安心する。 「初めまして、水瀬千花です。風紀委員副委員長を務めています。」  僕の挨拶を聞いた後、源先輩は感心したように「噂には聞いていたけど、本当に美人なんだなぁ。」と呟いていた。その言葉には下心を一ミリも感じられず、純粋な感想のように感じたので素直に受け取ることにする。  先輩は2人とも良い人そうでよかった、と安心していると後ろから叫び声が聞こえた。  
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