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「宵越しの銭は持ちこしたい」
〇長屋
江戸時代・昼
権太の住む長屋
真昼なのに洗濯物は一切出ておらず
人気も無い
二郎が部屋から出て
隣にある権太の部屋に入る
〇権太の部屋
長屋の奥
日当たりは悪く
質素で狭い
玄関に背を向けて寝ている
二郎が入る
二郎「アニキ。一稼ぎ行きましょうよ」
権太「いや、今日は良いわ」
二郎「乗り気じゃ無いですねえ。
でも良いんですかい?
今日は」
権太「(手を払う)」
二郎「そうですか。
じゃあ行ってきます」
戸を閉め出て行く二郎
権太「乗り気じゃねえ、か。
そりゃあなあ。
一日山切り崩して日当300文。
割に合わねえ。
気が狂うぜ
(仰向けになる)
手に職。
身に着けておけば良かったなあ。
でも誰かの下で
一生働くのはゴメンだ
(目を閉じる)
あーあ。
何処かに良い儲け話はねえかな。
何かこう
毎日顔を出さなくても
自然と金が湧き出る源泉とか、
目の前にポンと現れねえかな」
暫く考える
その時
外から異臭が入り込み
部屋に充満する
段々険しい顔になる
溜まらず部屋を飛び出す
権太「臭えな!畜生!誰だ」
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