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廃病院から逃げてきた私は泣きながら、自分の恐怖体験を仲間に話しました。
私の話を孝尚や正則や萌花は半信半疑で聞いていたのですが、私の尋常ではない怯え方を見て、ようやく私の話をちゃんと信じてくれたのです。
そして私のこの恐怖体験には後日談があります。
私が命を落としそうになったあの手術室には、木村愛子という女性のカルテが落ちていたそうです。
でもその木村愛子という女性の名は、十五年前、あの廃病院で起きた手術ミスで亡くなった小さな女の子の名前なのです。
私はその話を聞いてゾッとしながら思いました。
きっとあの白いワンピースを着た小さな女の子が木村愛子に違いないと。
そしてあの白いワンピースの女の子は、今でもあの廃病院に肝だめしで訪れた若者を、自分が命を落とした手術室へ連れていき、ゾッとする恐怖を与えていると思うのです。
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