エトランゼ

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エトランゼ

「なあ、あいつってなんであんなに髪茶色いの?」 「なんか、外人とのハーフらしい」 「アメリカ人?」 「いや、何人かは知らねえ、てかおまえ外人はみんなアメリカ人だと思ってるだろ?」 「え?違うの?」 「違うわ馬鹿、世界には色々な外人がいるんだぞ」 「おー!哲太頭いい!」  哲太が、五年生になって引っ越してきたばかりの藤原幸人に詳しいのは、哲太の通う小学校の先生をしている母美佐枝と、藤原幸人の母親、奏恵さんが、小、中と同級生だったからだ。奏恵さんは、幼稚園の頃から母の趣味で半ば無理矢理習わされている藤原ピアノ教室登喜子先生の娘で、幸人と奏恵さんが引っ越してきたばかりの時、登喜子先生に言われたのだ。 『これから火曜日と金曜日は、娘の奏恵にレッスンしてもらおうと思うんだけど、哲ちゃん大丈夫?』  その時はすぐに返事できなかったが、放課後はピアノよりも、友達と遊ぶ方がすっかり楽しくなっていた哲太は、丁度いい機会だとばかりに、五年生になったら登喜子先生じゃなくなるからピアノ辞めるよと母に宣言した。母は残念そうにしながらも、自分でちゃんと先生に言うのよと、哲太の決意を受け入れピアノ教室に送り出してくれたわけだが 『哲太君、みさちゃんの息子さんでしょ?幸人も同じ小学校なの、先生が新しくなって戸惑うこともあると思うけど、よろしくね』  レッスン室に現れた、まるで女優さんのように綺麗な先生にすっかり魅了された哲太は、帰って早々母に言った。 『俺!やっぱりピアノ続ける!』  興奮した様子の哲太を見て 理由を察した母が呆れたのは言うまでもない。   
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